Aug 16 2024

ワインのプリムールとは?意味やメリット、ヌーヴォーとの違いも解説

「プリムール」のアイキャッチ

ワイン用語のプリムールには、「新酒」と、「樽の中で熟成中のワインを先行販売するシステム」の2つの意味があります。1つの言葉で2つの意味を持つため、両方の意味についてきちんと理解できていない人も多いかと思います。

そこでこの記事では、プリムールという言葉の意味と、ワインを先行販売するシステムについて詳しく解説します。また、同じ新酒という意味のワイン用語「ヌーヴォー」とプリムールの違いについてもあわせてご説明します。

プリムールとは?

プリムールには2つの意味があります。一つは「新酒」という意味で、フランス語で「初めての、一番目の」という意味の形容詞「la première」が転じて、名詞の「primeur」になっています。

もう一つは、仕込みが終わり、樽の中で熟成が始まったワイン(プリムール)を試飲して、その一部を先行販売するシステムを意味しています。ここからは、後者のワインを先行販売するシステムとしてのプリムールについて詳しく解説します。

樽で熟成中のワインを先行販売するシステム

先行販売システムとしてのプリムールは、秋に収穫されたブドウで造られた熟成中の樽ワインを翌春に試飲し、その一部を先行販売する取引のことを指します。この時試飲されるワインもプリムール(プリムールワイン)と呼ばれ、その販売方式から「ワインの先物買い」と呼ばれることもあります。

4月初旬の「プリムールウィーク」と呼ばれる期間になると、世界中からワインのバイヤーや評論家などの関係者がプリムールを行うワインの産地に詰めかけ、出品されるワインを試飲します。試飲した後に各ワインの評価を定め、買い付ける値段や数量を決めます。

プリムールを行っている代表的なワイン生産地が、フランスのボルドーです。プリムールは、元々フランスのボルドーワイン独自の流通・販売システムです。ボルドーのワインは長期熟成タイプが中心で、適切な飲み頃を迎えるまでの期間が長いという特徴があります。そのため、ワインを製造してから出荷して収益を得るまでにタイムラグが発生していました。しかし、プリムールを導入してからは、瓶詰めして出荷する前の樽熟成の段階で購入されるため、以前より早いタイミングで収益を得られるようになっています。

試飲する男性

買えるのは“シャトーもの”と呼ばれる高級ワインがメイン

プリムールワインとして売り出されるワインの多くは、“シャトーもの”と呼ばれる高級ワインです。シャトーとは、主にボルドー地方でブドウ畑を所有し、ブドウの栽培からワインの醸造、熟成、瓶詰めまで、ワインの生産を一貫して行う生産者のことを指します。

ボルドー地方には生産者ごとに一つの畑を所有しているという特徴があり、その規模の大きさから、フランス語で「お城・大邸宅」を意味するシャトーと名付けられました。

ボルドーには数多くのシャトーが存在しますが、その中でも有名な61種のシャトーが1級〜5級に分けて格付けされており、トップの1級には以下の5大シャトーが君臨します。

  • シャトー・ラフィット・ロートシルト
  • シャトー・ラトゥール
  • シャトー・ムートン・ロートシルト
  • シャトー・マルゴー
  • シャトー・オー・ブリオン

ボルドー以外のワインでも導入され始めている

プリムールは元々ボルドーで始まったワインの先行販売システムです。しかし最近ではその有用性が認識され、ボルドーと双璧をなすワインの銘醸地、ブルゴーニュ地方でも行われるようになりました。また、ボルドーのプリムールの活況に目をつけたアメリカ、イタリア、チリの有名生産者も、自身の生産したワインを、外部参加生産者としてボルドーのプリムールに出品しています。

フランス以外の国からプリムールに出品している生産者の例は以下のとおりです。

  • Opus One(オーパスワン):アメリカ・ナパヴァレー オークヴィル
  • Masseto(マッセート):イタリア・ボルゲリエリア
  • Almaviva(アルマビバ/アルマヴィーヴァ):チリ・プエンテアルト
数々のワインボトル

プリムールでワインを買うメリットとデメリット

プリムールはワイン愛好家にとってメリットもありますが、同時にデメリットもあることについて十分に理解しておく必要があります。

メリット:希少ワインを値上がりする前に確保できること

購入者にとってのプリムールのメリットは、希少な高級ワインを、値上がりする前の早いタイミングで確保できる点にあります。ワインは長期間熟成することで価値が上がりやすいです。さらに、消費されて数が少なくなることはあっても、同じ生産年のワインが増えることはないため、購入後に市場価値が上がる可能性が高いです。

デメリット:購入時より価格が上がるとは限らない

プリムールで購入したワインの価格や価値が購入時より上がるとは限りません。為替の変動で逆にワインの価値が下がる、プリムールで購入した時よりも価格が安くなるというリスクや、自分の手元にワインが届くまでの数年の間に、購入先のシャトーが倒産してしまうという可能性もあります。また、プリムールは生産者とバイヤーなどの販売者間で行われるため、一般人の参加が難しいことにも注意が必要です。

プリムールとヌーヴォーの違いは?

ここからは、同じ「新酒」という意味を持つプリムールとヌーヴォーの違いについて解説します。

早飲みを想定したヌーヴォーと熟成を見込んだプリムール

プリムールとヌーヴォーの違いは、出荷するタイミングや飲み頃とされる時期です。

ヌーヴォーとは「当年産の新作ワイン」、つまりその年に収穫したブドウを醸造したできたての新酒ワインのことを指します。元々は、秋の収穫祭を兼ねたお祭りの意味合いも強く、長期間熟成させず早飲みすることを想定して作られているのがヌーヴォーの特徴です。

ヌーヴォーの中でも有名なのはボジョレー・ヌーヴォーですが、イタリアの「ヴィーノ・ノヴェッロ」、ドイツの「デア・ノイエ」、スペインの「ビノ・ヌエボ」など、世界各地に同様の新酒があります。

一方プリムールは、ヌーヴォーの中でも、ボルドーワインのように熟成することで価値が上がると見込まれた新酒を指します。すぐに飲んでしまうのではなく、熟成を見据えている点がヌーヴォーとの違いです。

開封されたワイン

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プリムールというワイン用語の意味と、熟成中の樽ワインの先行販売システムについて解説しました。プリムールにて販売されるワインは、高級ワインがメインです。また、一般人は参加するのが難しいため、プリムールワインを手にするのはなかなかに困難です。

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20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。20歳未満の方に対しては酒類を販売しません。

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