Aug 16 2024
ワインの作り方の基本を解説【赤ワイン・白ワイン・ロゼ・オレンジ・スパークリング】

ワインはブドウからできているお酒だということは、大体の人が知っていると思います。しかし、どのようにしてブドウからアルコールを含むお酒を造っているのか、具体的なワインの作り方までは知らない人も多いのではないでしょうか?
ロゼワインがピンク色になるのはなぜか、シャンパンの泡はどこから発生しているのかなど、普段ワインが好きで良く飲む方でも、ワインの作り方は意外と知らないものです。
そこで、この記事では、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン、スパークリングワインといった代表的なワインの作り方を分かりやすくお伝えしていきます。ぜひ最後までお付き合いください。
基本のワインの作り方
ワインの作り方は、日本酒やビールなどほかのお酒に比べると非常にシンプルです。
お酒作りでは、糖をアルコールと炭酸ガスに分解するアルコール発酵を行うため、糖分を持たない原料でお酒を作る際は、原料が持つでんぷんなどを糖に変える工程が必要になります。一方ワインは、もとから糖分を含むブドウが原料なため、早い段階でアルコール発酵が行えます。
ワインは具体的には、どのような工程を経て作られるのでしょうか。ワインの基本的な作り方を解説します。
工程1:原料のブドウをアルコール発酵させる
ワイン造りは、原料のブドウを収穫し、アルコール発酵させる工程から始まります。成熟し、糖度が十分になったブドウを収穫します。現在では機械摘みが多くなっていますが、品質にこだわる高級ワインなどでは手摘みで収穫されることもあります。
収穫したブドウは、房のまま除梗機(じょこうき)でブドウの軸である果梗(かこう)を取り除き、ブドウの果皮が破ける程度に軽く潰す破砕(はさい)という工程を経た後、タンクに入れアルコール発酵させます。
工程2:発酵が終わったら圧搾し、樽に詰めて熟成
アルコール発酵が終わると、圧搾機にかけて果皮と種子を取り除き、ワインのみにしたものを樽(またはタンク)に詰めて熟成させます。熟成中は「おり」と呼ばれる沈殿物が出るため、上澄みのワインだけを別の容器に移し替える「おり引き」という作業も行います。
工程3:熟成したワインをろ過して瓶詰
熟成を終えたら、ろ過処理により不純物を取り除いた後、瓶詰めします。ワインは、瓶詰めした後でも適した環境で保管すれば熟成が進むのですが、この瓶内熟成が非常に重要です。
瓶内熟成は、瓶詰めされたときに瓶内に封じ込まれたわずかな酸素や、栓(コルク)からゆっくり入り込む酸素が、ワインに含まれる微生物や酵素などと化学反応を起こすことで進みます。熟成することで酸味や渋みがまろやかになり、香りが芳醇になったり、色合いが濃くなったりするのですが、ここで重要なのは“ゆっくりと”熟成が進むことです。
というのも、密度の低い低品質なコルクを使用して大量の酸素が混入してしまったり、直射日光が当たったり温度の高い場所で保管したりすると一気に酸化が進んでしまい、ワインの品質が落ちてしまうからです。そのため、美味しいワインを作るためには、瓶内熟成がうまくいくための保管環境が重要です。
ワインの保管については「ワイン倉庫の保管サービスとは?預けるメリットや倉庫の選び方を解説!」で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

【種類別】ワインの作り方
基本的なワインの作り方についてご紹介してきました。ここからはワインの種類別に、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、デザートワインの作り方をご説明します。
なお、ワインの種類について詳しくは「ワインは何種類ある?製法別に代表的なワインやブドウ品種を紹介」で解説しているので、併せてご覧ください。
赤ワインの作り方
赤ワインは、数多くあるワインの製造方法の中でも一番オーソドックスな作り方で作られています。赤ワインの作り方をベースに、順番を変えたり、オリジナリティを加えたりして作られているワインも多いです。そのため、ワインづくりの基本となる赤ワインの工程は詳しく解説していきます。
工程1:ブドウを選果した後、除梗・破砕する
まず収穫した黒ブドウを選果(傷んだブドウ、質の悪いブドウを取り除くこと)した後、除梗(軸を取り除くこと)し、破砕を行います。
工程2:果醪(かもろみ)を発酵させ、醸し(かもし)を行う
破砕し果汁と果皮と種が混ざったものを「果醪(かもろみ)」といいます。この果醪を木の樽やステンレスタンクに入れ、アルコール発酵と醸しを行います。
アルコール発酵では、酵母の働きによってブドウの糖分がアルコールと二酸化炭素に分解されます。発酵が始まって3〜4日経ち、果皮や種から赤い色素や、タンニンと呼ばれる渋味や香りが抽出されることを醸しといいます。醸しは、マセラシオンとも呼ばれます。
工程3:圧搾し液体のワインと固体の果皮や種を分離する
アルコール発酵と醸しが終わったら圧搾機にかけて、液体であるワインと個体である果皮や種を分離させます。その後、分離したワインを樽やタンクにワインを移し熟成させると同時に、マロラクティック発酵とおり引きも行います。
マロラクティック発酵とは、ワインに含まれるリンゴ酸が乳酸菌の働きにより乳酸と炭酸ガスに変化する反応のことです。酸味のもととなるリンゴ酸が乳酸に変化することで、酸味を和らげる効果があります。マロラクティック発酵などが終わった後は、ろ過、瓶詰めをして完成です。

白ワインの作り方
白ワインの作り方も赤ワインと大きく変わりませんが、決定的に異なるのは、圧搾とアルコール発酵の順番が逆になることです。
選果したものを除梗、破砕するまでの作り方は赤ワインと同じですが、白ワインでは圧搾を先に行い果汁を抽出し、それをタンクなどに詰めてアルコール発酵させます。また、赤ワインで行った醸しとマロラティック発酵も基本的には行いません。白ワインでは色素やタンニン(渋み)を抽出する必要がないからです。さらに、白ワインの場合は酸味が重要となってくるため、酸味をまろやかにするマロラクティック発酵が行われるのは、一部の高級白ワインなどに限られます。
赤ワインのように醸しを行わない白ワインでは、味わいに深みを出し旨味成分を抽出するために、「バトナージュ」や「シュル・リー」と呼ばれる製法を用いることがあります。
バトナージュとは、タンクや樽で熟成している間、底に溜まった澱(おり)を棒(バトン)で混ぜ合わせ、旨味成分を抽出する方法。シュル・リーとは、ある程度熟成が進んでもおり引きを遅らせ、半年程度澱と接触させておくことで澱に由来する風味を取り込む方法です。これらの製法により、焼いたパンやナッツのような風味が生まれます。

ロゼワインの作り方
一般的なロゼワインは、「セニエ法」「直接圧搾法」「混醸法」の3種類で作られていることが多いです。ここでは、3種類の手法について解説します。なお、ロゼワインのピンク色は「赤ワインと白ワインを混ぜて作るのではないか」と思われがちですが、基本的にワインを混ぜてロゼワインを作ることはありません。これは「ブレンド法」と呼ばれ、ヨーロッパではスパークリングワインを除いて禁止されています。
セニエ法
セニエ法は、途中までは赤ワインの作り方と同じです。黒ブドウの果汁を果皮や種とともに樽やタンクに入れてアルコール発酵と醸しを行います。赤ワインの作り方と異なるのは、醸しを途中で止め、薄く色づいたところで上澄みの果汁のみを取り出し、その後発酵させる点です。
直接圧搾法
直接圧搾法は、通常赤ワイン作りに使われる黒ブドウを、白ワインのように先に圧搾し、果汁だけで発酵させる方法です。圧搾した際、果皮に含まれるアントシアニンという成分が果汁に若干混ざることで淡いピンク色になります。ほかの製法に比べ色が淡いのが特徴です。
混醸法
混醸法は、黒ブドウと白ブドウを混ぜて発酵させる方法です。醸造の工程はセニエ法と同じで、混ざった状態で赤ワインと同様に発酵させるやり方です。混醸法は、主にドイツで採用されています。
オレンジワインの作り方
オレンジワインの作り方は、原料に黒ブドウではなく白ブドウを用いるという点が異なるだけで、ほかは赤ワインの作り方と同じです。白ブドウの果皮は、黒ブドウよりもアントシアニンが少ないため、赤ワインと同じように作っても赤色にならず、オレンジ色になるというわけです。
ちなみに「オレンジワイン」というのは、2000年代にイギリスのワイン業者が作った造語です。ワイン発祥の地といわれ、古くから伝統的にオレンジワインを生産するジョージア(グルジア)では「アンバーワイン」と呼ばれています。

スパークリングワインの作り方
スパークリングワインの作り方には国や地域によってさまざまなものがありますが、大きく分けると以下の2つに分類されます。
- 炭酸ガスをワインに直接吹き込む方法
- ワインに含まれる糖分と酵母の働きによって、ワインから炭酸ガスを発生させる方法
1つ目の炭酸ガスをワインに直接吹き込む方法は、安価なスパークリングワインで用いられる製法で、サイダーや炭酸水と同じです。ここでは、2つ目のワインに含まれる糖分と酵母の働きによって、炭酸ガスを発生させる方法に含まれる4つの作り方についてお伝えします。
トラディショナル方式(シャンパーニュ方式)
トラディショナル方式は、スパークリングワインの作り方の中で最も手間のかかる製法で、別名シャンパーニュ方式とも呼ばれています。
トラディショナル方式は、スティルワインを瓶に入れた後、さらに糖分と酵母を加えてコルクで栓をします。これにより瓶内二次発酵が起こり、炭酸ガスが発生します。密閉されているため、逃げ場のない炭酸ガスが、ワインの中に自然と溶け込んでいくことで発泡性が生まれます。
トラディショナル方式の手間のかかる工程はここからです。通常のワインでは樽やタンク内で行うおり引きを、トラディショナル方式では1本1本の瓶ごとに行う必要があり、これを「デゴルジュマン」といいます。デゴルジュマン後、瓶内二次発酵で目減りした分をリキュールなどで補う「ドサージュ」という工程を経て、やっとスパークリングワインが完成します。
非常に手間がかかるため、シャンパンをはじめとする高級スパーリングワインで採用されることが多い製法です。
トランスファー方式
トランスファー方式は、トラディショナル方式の簡易バージョンです。瓶内二次発酵を行うところまではトラディショナル方式と同じですが、簡易版のトランスファー方式では、発泡したワインを加圧したタンクに移します。トラディショナル方式では1本1本行っていたおり引きなどの工程を、ほかの製法と同様にタンクでまとめて行うことで、簡易化しています。
シャルマ方式
シャルマ方式は、瓶内ではなく、密閉した大型タンク内で二次発酵やおり引きをする製法です。シャルマ方式で作るとワインの大量生産が可能になります。また、ワインが空気に触れる時間が短いため、ブドウの持つアロマが残り、フルーティに仕上がるというメリットもあります。
リュラル方式
リュラル方式は、一次発酵(アルコール発酵)の途中で、泡立っている醪(もろみ)を瓶に入れて密閉し、残りの発酵を瓶内で継続させる方法です。ほかの方式のように酵母と糖を追加せず、一次発酵で残った糖のみで発酵させるため、アルコール度数が低くなり、風味豊かなスパークリングワインに仕上がります。

奥深いワイン作りの豆知識
冒頭でお話したとおり、ワインの作り方はとてもシンプルです。しかし、ワインにはこの記事で紹介しきれないほど数多くの種類があり、味わいや香り、色もさまざまです。シンプルな作り方で作っているのに、数多くの異なるワインができるのはなぜなのでしょうか。
最後に、ワインの品質と味の豆知識をご紹介します。
ワインの品質にはブドウの品質が直結
ワインの品質には、原料となるブドウの品質が直結します。ワインの作り方は、基本的にブドウを潰して発酵、熟成させるというシンプルなものです。ただ、このように工程がシンプルで、余計な添加物などがほとんど入っていないからこそ、ワインの仕上がりは原料のブドウの品質に大きく左右されます。
同じ品種のブドウでも、ブドウの産地によって出来上がるワインの品質は変わるため、「ワイン作りはブドウの質で8割決まる」とさえいわれています。
ワインの甘口と辛口は発酵で決まる
ワインは、ブドウの持つ糖分をアルコールと炭酸ガスに分解させて作るため、発酵の進み具合で甘口辛口が決まります。発酵が進むと糖分が減っていくため、その分辛口かつアルコール度数が高くなります。一方、発酵を抑えると糖分が多く残るため、甘口かつアルコール度数が低くなります。
ただし、精強化ワインは、ブランデーなどのアルコール度数の高いお酒を加えて強制的にアルコール発酵を止めているため、甘口でありつつもアルコール度数の高いお酒になります。
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赤ワインと白ワインの作り方の違いから、ロゼワインやオレンジワインが色づく理由、スパークリングワインが泡立つ仕組みまで、さまざまなワインの作り方をご紹介しました。ワインの知識が深まったことで、さらにワインの魅力や楽しみ方を知りたくなった方もいると思います。
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